りゅうおうのおしごと!アニメメイキングセミナー 1部

 2018年8月25日(土)に、市ヶ谷の東京アニメセンター in DNP PLAZAにて、りゅうおうのおしごと!アニメメイキングセミナーなる催し物が開催されました。1部2部各90分の講義というもので、TVアニメ「りゅうおうのおしごと!柳 伸亮監督と、キャラクターデザイン&総作画監督矢野茜さんのお2人を招いてのイベントでした。

 通称アニセミという名称のこのイベント、前週にダーリン・イン・ザ・フランキス錦織敦史監督、キャラデザの田中将賀さんを招いて、行われ、これが第2週目。ちなみに翌週はゆるキャン△セミナーが行われるという3本立て。前週のダリフラのも行きたかったんだけど、夏コミ明けの疲弊しきった体とお財布にはツラい物があるぜ…と思って申し込まなかったんだけども、今回のに参加したら、無理してでも行っておくべきだったと思ったくらいには充実したイベントであったのです。

f:id:Ryoching240:20180827100739j:plain

 柳監督と言えばロウきゅーぶ!SSで監督デビューを果たし、その後project No.9の作品で監督として活躍されてる方なのですが、総作画監督や演出・絵コンテの担当としても名前を見かける事がちょいちょいあり、結構多岐に渡って活躍されてたりもしてます。僕が初めて名前を見たのはゼロの使い魔だったような。なんで目に留まったかと言うと、伸亮ってなんて読むんだ?って気になったからw(当時読み方を勝手にノブアキ?って思ってたら、後日調べてシンスケと判明、すみませんm(_ _)m)

 そして、矢野茜さんは、ニセコイでのキーアニメーターやグリザイアシリーズでの原画・作監を経て、ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?で初のキャラデザ・総作監を担当し、りゅうおうのおしごと!でキャラデザ・総作監は2作目。

 柳監督にしても、矢野さんにしても、ぼくの好きな作品・演出・キャラデザと、ツボに入りまくる方達なので、実際のアニメ制作に関しての話がこのお2方から聞けるなんて、最高のイベントだなと思って申し込んだわけです。

 

 以前の職場が市ヶ谷だったので、久しぶりに市ヶ谷で下車し、DNP PLAZAへ。相変わらずなんとなく堅苦しくゴミゴミしつつもなんかのんびりしたトコだなと。

f:id:Ryoching240:20180827102054p:plain

 以前秋葉原UDXにあった東京アニメセンターがこちらの地下1階に移転してきてからは初めてきました。今はゴールデンカムイのイベントというかオンリーショップやってました。帰りに覗いてこって思ったけど忘れてた…。

東京アニメセンター in DNPプラザ

 

 12時から受付開始で、時間より気持ち早くつくとすでに5人くらいが待ってました。呼び込まれ2階へ移動し、受付をすませ、空いてる席に。前から2列目だったので、見やすい位置に。

 そしてイベントは1部が12時30分から開始。1部はキャラクターデザインについての講義内容です。司会の方の呼び込みで2人が入ってきます。ステージ上の配置はこんな感じ。後ろに大きいスクリーン。

f:id:Ryoching240:20180827101913p:plain

 司会の方から、「では今日の意気込みをお願いします!」と振られ、

「少し時間長いので、退屈させないようにします」

「(客席に参加者が多く)目がいっぱいあって緊張します!」

という、監督は落ち着いてるのに対し、矢野さん少しテンション高め笑

確かに参加者結構いた気が。50〜60人くらい?

 

 そしてまずは作品に関して、監督から矢野さんへ求めた点と言うのが、

・原作に寄る

・キャラクターの可愛さを表現

・シルエットで誰かわかるように

ということだったそうです。それに対して、矢野さんは、

・矢野感(もちっと感)が出すぎたw

・(パーツなど)立たせる所は立たせるようにした

・他のアニメーターさんも描きやすいように意識した

という回答。パーツを立たせるという点に関しては、最初主人公あいちゃんのツインテはもう少し大人しかったという話。そして、原作絵のしらび先生の絵はシュッとしているのに対して、矢野さんのキャラはもちっとして、子供っぽさを重視したとのこと。

 そこから、設定画の話になります。設定画を起こす時、前横後の3面の全身図を描き、さらに表情なども描くそうです。作品によってはSDキャラを使う事があるので、SDキャラも描いたり、描写が多くなりそうな靴の底なども設定画に盛り込んだとのこと。

 今回のキャラデザではあいちゃんの髪飾りが苦戦したそうです。原作絵より、パーツ数を減らしたりもするそうで、これはアニメで動かしやすくしたりする事にもつながるとのこと。線が多いと動かすの大変ですもんね。

 そして、各キャラの表情の話に。

「桂香さんの表情はOPの憂いのある顔が好き、影のあるシーンは目線を上にしたり、下にずらしたりして、気をつけている」

とのこと。矢野さんの言っていたシーンがこちら。↓

f:id:Ryoching240:20180827103943p:plain

 

「男性キャラは直線をイメージ。手の線もシュッとさせる。現場の男性スタッフの手を参考にして描いたりもした。」

「桂香さんは女性キャラの中でも年上で保護者的な位置づけだったが、7話以降、雰囲気がかわった。どのアニメも設定の段階から、ラストに行くにつれて、キャラクターの雰囲気がかわっていく。それがアニメのいい所。」

「12話の時は親不知が痛くて、将棋の白熱したシーンを描いてる時は描きながら同じ表情をしていたと思う。」

「原画を描いてる時は描きながら同じような顔をしてる事が多々ある。」

と、シーンの話だったり、制作時の話だったり色々聞ける、面白い…

 

 そして、りゅうおうと言えば、小学生女子が出てくるアニメ。そう言う部分では通報しますた案件になるシーンも出てくるわけですが、

「ギリギリを攻めたかった(裸の)。乳首を毛先で隠す感じを描いたが、毛量が足りずにリテイクをくらったw」

「制作側は基準値が段々壊れてきて、第3者から言われて、我に返る事が多いんです」

という話にも。

 そして、インタビューなどでもよく話題に出ていた、矢野さんがキャラデザをした時に一番苦戦したキャラ・パンサーの話題に。

f:id:Ryoching240:20180827105149p:plain

 パンサーのキャラデザが固まるまで、5テイク重ねたそうで、オッサンなのか、オバハンなのか、そこがわからないようなキャラデザを目指し、このキャラの存在を知らなかった社内の人達に「オジさんに見えますか?オバさんに見えますか?」とヒアリングしリテイクを重ねたそうで、監督にとっても、矢野さんにとっても、ある意味一番思い出深いキャラだという事でした。

 他にも、キャラデザをする上での話を色々聞いたのですが、

「りゅうおうは表情芝居が多い作品だった。アニメは絵だからアップに耐えづらい所があるため、アップにする時は画面内の情報を増やした。あいちゃんの子供らしさも出していきたかったため、椅子に座っている時に足をブラブラさせたり、少しイラッとする踊りなど。コンテの時点でオーダーした。あいちゃんは可愛いけどちょっとムカつく感じに、逆に天ちゃんは表情をあまり出さないけども、たまに感情を出す所で子供らしさ(地団駄を踏むなど)を出した」

という話も。

 そして、事前に課題提出の連絡がアニセミから着ていたので、提出した物に対しての講評。1部はキャラを描くという事で、課題は「可愛く拗ねているあいちゃん・天ちゃんを描く」という物。あいちゃんの全身絵を描いた方の絵を矢野さんその場で作監修正。出てきた絵がすでに上手い感じだったのですが、足先の向きや、腰回りを修正していくと、もっとそれっぽくなるのが凄かったす。そして、さらっと描いちゃうのもさすが。

 矢野さんが課題に対して事前に描いてきてたあいちゃんの画像も紹介されましたが、八一の目線から見ているあいちゃんをイメージしたイラスト。

 ↑このツイートの画像2枚目。

矢野さん曰く、「女の子は上から見ると可愛く見える。上目づかいとか」との事。カメラ(目線)アングルを意識して描くとシチュエーションが想像しやすいそうです。ちなみに、柳監督も、矢野さんもキャラクターを描き始める時は目から描くそうです。自分はイラスト描く時に最後に目を描いてたから、目のバランスが悪くなる事が多かったので、参考にしてみたいと思った次第です。

 そして、「天ちゃんも描いてくれた人がいまして〜」って送られてきた課題絵をゴソゴソっとしてたら自分の描いた下手な絵がスクリーンに映し出され、心臓止まるかと思ったwその場で添削は無かったけども、その絵を参照してくれたのかは不明ですが、キャラの向きが似た絵を矢野さんその場でさらさらっと描く。あげく色も塗る。速い。さすがである。こういった、絵を描く場合

「キャラ表は基本見ながら絵を描いている。表情に関しては無視するけども、服やパーツなどを間違えないようにしている」

という事だそう。そうこう言いながら天ちゃんのイラスト完成。さっきのツイートの3枚目のイラスト。

 

 そして、1部のまとめにはいります。

「可愛さとカッコ良さを両方出したかった。シーン毎の表情やキャラクターの性格などは監督とすりあわせていった。」

「すりあわせてた事で、お互いの認識のズレをなくしていった。」

「表情を描く時には自分の体験なんかも大切にしている。絵を描く上ではパースなどの技術的な部分も大切だけど、自分自身がストックしている感情も大切。喜怒哀楽などを常に意識して、ストックを増やしている。」

「とにかく絵を描くときには物を観察するのが大切。物の対比(サイズ感)など、そこを意識するだけでだいぶかわってくる。動きや表情なんかもしっかり観察していく。」

という事。

 

そして質疑応答という形で数問質問が参加者から出てきて、それに答えるという形に。

 

そんなこんなで第1部は終了。なんと濃密な90分であったか。第1部はキャラクターを描くという事に関しての講義内容だったので、矢野さんがメインで話が進む感じでした。第2部は絵コンテ・演出の話になるため、柳監督がメインになります。

 

ひとまず、ここまで描いて結構疲れたので、本当ならイベントの内容まるっと書こうと思ったけど、ブログ自体も1部と2部にわける事にします。。。

 

後半に続く(キートン山田

 ↑後半