FLCLというアニメについて・その3 プログレ版【ネタバレあり】

どーも、ぼくです。

3本立てのズラズラと書き連ねたブログのラストになります。

 

初回はOVA版への熱い思い↓

 

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その2はオルタナを見た感想↓

 

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んで、今回その3はプログレを見た感想です。

最初は1コのエントリーでまとめるつもりだったんだけど、必要以上に長くなってしまったというのもあって、結局3分割です。

 

※このブログはあくまで個人的主観での内容になるため、解釈を誤っている部分もあるかもしれませんので、その辺は悪しからず。あと、なるべく批判的にはしたくない方向なのですが、まぁ前作への愛故にと、そこはね。

 

では、プログレ編です、どうぞ。

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2018年9月28日〜10月18日公開

内容的には

1話サイスタ 監督:荒井和人
2話フリハニ 監督:海谷敏久
3話ミズキリ 監督:小川優樹
4話ラリルレ 監督:井端義秀
5話フルプラ 監督:末澤慧
6話アワラン 監督:博史池畠

OVAオルタナ同様、全6話構成。

 OVAオルタナと大きく違うのは、全6話すべてが監督が違うという事。各話監督は上記の通りです。キャラクターデザインが久保田誓さんで、オルタナ高橋裕一さんと比べると、全体的にOVAの雰囲気に近い所があるように感じられたです。

 今回の主人公は中学生OVA小学生で、オルタナ高校生、その間に位置する年代ですね。最初にプログレの方が話が進んでいたみたいで、その設定を知った上村監督オルタナは高校生の話にしようと決めたという事らしいです。

 

 そう、前回・前々回のブログでも触れていたように、ナンバリング的にはプログレの方がフリクリ2と言う仮題だったんですよね。それを北米ではナンバリングの通り公開されたのに、なぜ日本ではオルタナが先に公開されたのか、そこが謎だったんです。

 

 プログレを見た感想としては、オルタナよりもフリクリしてた。と言うのが、最初に思い浮かんだのですが、それは僕自身が、OVAに対しての深い愛情があるからこそ出てくる感想だったわけで、つまりそれってこの映画でフリクリ初見の人には全く以て出て来ない感想なわけです。そういう意味ではオルタナの方がわかりやすい。

 確かに、日本では今まであまりフリクリが大きく取りざたされる事もなく、これまでは「伝説のOVA作品」だとか、サブカルアニメ」だとか、ちょっと特殊な括りで語られる事が多かった作品でもあった。対して、海外だとフリクリの人気はとてつもないようので、貞本さんなんかは海外イベントでのサイン会で、エヴァのキャラと並ぶくらい、ハル子の絵を描いてくれと頼まれる事が多いというのを、フリクリックノイズで言及していた。

 そこら辺から鑑みるに、つまり海外のフリクリファンはいきなりプログレから見せても問題ないが、日本の客にはちょっとフリクリっぽさってわかりにくいのかな?という判断で、じゃぁわかりやすいオルタナから!的な、つまりぬるま湯から馴染ませようとしたって事なのか?って、そう思えて来てしまって、興行側がファンのこと舐めてんのか?って気持ちになってきてしまった。

 

 まぁもう公開されてしまった以上、こういう文句はどこにも響かないわけで。そうなったらあとはもう与えられたものだけで楽しむしかないじゃんってなもんです。

 

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入場特典のパス風バスター君ステッカーはthe pilloesファンにも嬉しいデザイン。オルタナの時にも入場特典欲しかったわ…

 

 プログレの主な登場人物はこんな感じ。

●ハルハ・ラハル:ハル子が分裂したうちの一人、基本ハル子。金髪

●ジュリア・ジンユ:ハル子が分裂したうちの一人、基本マジメ。ダサグラサン

●雲雀弄 ヒドミ:無愛想。いつもヘッドホンしてる。メインヒロイン

●井出 交:メガネ。マジメ。主役っぽいポジション。

基本的にこの4人を主軸に、あとは周囲の人達が巻き込まれて行く流れ。

 

 事前情報は軽く見ていたんだけど「ハル子が分裂してラハルとジンユになったのね、それでラハルは林原めぐみさんが声を充てるのね。」くらいに思っていた。実際見てみると、OVAのハル子にしっかり寄せてるなぁと思う程に、林原めぐみさんの演技というのは凄かった。しっかりハル子してた。でもOVAをアホほど繰り返して見てるぼくは、やっぱり細かいニュアンス的な部分で、新谷ハル子なら、こんな声を出してそうだなとか、違和感を勝手に感じてしまってた。とは言っても、林原さんの演技は文句を言えるような物ではなかった。納得すら出来ていた。でも、話が進んで行き、後半ラハルがジンユを再び吸収して、ハル子に戻る瞬間があって、そこは演出的に新谷さんにしても良かったんではないの?って思ってしまった。ハル子がベースとして強く残ってるラハルの声を新谷ハル子のコピーにしてしまうんだったら、分裂したという事実は薄れて見えるし、合体後も声が同じってのはなんかなぁって。

 それなら、ラハルの声をもう少し林原感を出して、合体してハル子に戻った時に新谷感を全面に出して「そうそう、これがハル子だよ!」ってな見せ方にはできなかったんだろうかと思ってしまった。ラハルは見た目のベースが9割ハル子だから、まぁ仕方ないのかとは思うけど(吸収されたジンユ感はどこにもないが)。とりあえず、ラハルは金髪で、ハル子になった時には髪色がピンクっぽくはなってたという外見的変化は多少あり。

 林原さんは、パンフレットにも「私がハル子を演じていいのか?」というようなコメントを寄せていつつも、自分の中のハル子像を研究し尽くして、演じてくれていた所にもすごく好感が持てるし、新谷さん林原さんへ応援の手紙を送っているというエピソードもあり、そう言った部分からも、林原ラハルはよかったと思える。ゆえに、ハル子に戻った時くらいはなぁって、ちょっとワガママな気持ちになってしまった。

 

 初見後の不満ってのはまぁそんなくらい。

 

 オルタナを何度か見て、面白かったんだけど煮え切らない所がどこかあった感じのモヤモヤをそれこそギターで頭ぶったたかれた感じにスコーンと抜けていくぐらいの疾走感ってのはプログレにはあった。多分、今回の劇場版2作を語る場合に、OVA引き合いに出したとしても、比較する対象ではなかったなというのは、プログレを見た後に、自分の中に出て来た結論でもある。

 ゆえに、オルタナプログレの比較になってしまい、そのベースにOVAがあると言う図式に、自分の中では落ち着いた。

 

 

 前回ブログのオルタナ編にも書いた通り、オルタナOVAでの演出やセリフ回しを意識させるような演出がたくさん見受けられた。それは旧作ファンへのサービス的な物であり、ぼく自身もそういうOVAをなぞる演出をしている部分をさがし、見つけるのを楽しんでいた。ところが、プログレの方ではそれは顕著ではなかったように思う。しょっぱなジンユがヒドミをキャデラックでなんの躊躇いも無く轢くような所や、

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5話のアワランの中で、OVAでも印象的だった、コミック絵柄をそのまま持ってくる手法なんかはフリクリの世界観をそのまんま継承していた。あのコミック絵柄の部分は、CONTINUEの中で末澤監督が、(今回の制作の中で)他に誰かやってる人がいると思って確認したら誰もやっていなかった。」というような事を言っていたのだが、あれはぜひ入れ込んで欲しい要素だったので、末澤監督の功績はめちゃくちゃ大きい。OVAがもろに今石さんのタッチの少年漫画風な絵柄だったの対して、今回は少女漫画風なタッチになってるのも、対比があってよかった。

 

 冒頭わりとすぐに、OVAのキャラやオルタナのキャラがずらっと映し出されるシーンや、大人になって瓦礫の上でハル子のベースを持っているナオ太と思しき青年の後ろ姿や、カメラに映されたOVAでの橋の横の自販機の所の景色をタバコ吸いながら見てる多分マミ美と思しき女性の姿など、匂わせる程度の物は随所に見られた。そのため、それまでオルタナの方で見てた「これやったらフリクリワールド感あるっしょ!」ってな演出が、途端に過剰で陳腐で安っぽいものに感じてしまった。

 

 この時点で、プログレの方が面白いという軍配が頭の中で挙がってしまったのだ。言うなれば、プログレフリクリ2になり得た作品で、オルタナフリクリ3ではなく、フリクリ外伝という立ち位置に見えた。というか、そういう見方をする事で腑に落ちた部分があったのだ。

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 他にも、続編たる部分が見えるのは他の登場キャラ達にもよるわけで、カンチが再び出て来て、井出と合体してアトムスク化したり、声を聞いて一発で大倉孝二さんだとわかったマスラオは最後に管理局の課長と呼ばれるおばぁちゃんから「眉毛の辺りが父親にそっくりねぇ」なんて言われる事でアマラオの息子なんだと理解できたりして、そういう仕掛けがニヤリとさせてくれた。

 

 そういった感想を抱いた時に、この場合もしかしてプログレの方がStar overheadは主題歌としてあってたんじゃないのかな?なんて思ったりもしてしまった。曲調の雰囲気はオルタナにもあってたんだけど、歌詞がナオ太視点の歌詞なのはさわおさんが言ってる(というのを前回・前々回のブログでも散々言ってる)ので、これらの演出にあってたような気がしてしまった。

 Spikey Seedsももちろん好きだし、イントロの雰囲気から疾走感のあるプログレにはぴったりだとは思うが。

 

 他にもちょこちょこ気になった部分として、やはりフリクリ=鶴巻作品」という認識が、オルタナにもプログレにも共通して見てとれる所があり、フラタニティとかそういった単語が共通して出てくる部分からもトップをねらえ2!の存在はデカいと思う。現に、オルタナのラストではカナブンがエキゾチックマニューバを解放してバスターマシンとして覚醒したノノ同様、髪の毛がオレンジになったりもしていた。ではプログレはどうだったかというと、やっぱりその辺はしっかり控えめにだけど取り込まれていたと思う。

 また、ジンユがヒドミを轢いてしまったお詫びにと、ヒドミの家の喫茶店で働く(ハル子からヒドミを守るための口実がバレバレなのはジンユのマジメなのに抜けてる性格がわかりやすかった)となった時に、メイド服を着て皿をバキバキ割ってたのだが、

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これも、トップ2!の1話でノノがバーで働いていた時にウェイトレスの格好をしていたのと、皿を割るのだけは上手いと客からもマスターからも言われていた所からパロディのネタにしたんだろうなというのはすぐ感じた。

 

 プログレは、全体を通して、OVAオルタナよりもはっきりと「恋愛」というお題が見えていたのも特徴的だった。相変わらずアトムスクの事しか頭にないラハルを諭そうとするジンユとの変な三角関係だったり、ヒドミと井出の心の距離感がだんだん近付いて行くなかで唯一の常識人と思えていた同級生のマルコが人格がぶっ壊れたヒドミに恋しちゃったり(そして失恋)、恋したくてしょうがない森がレンタル彼女を依頼して、アイコちゃん(マスラオの娘だった)に彼女のフリをしてもらったり(そしてまさかの最後結ばれる)、出て行った父親を待ち続ける健気な側面もみせたヒドミの母親だったりと、大体の主要キャラはなんだか恋に浮かれてる。

 OVAでは、ナオ太の「ハル子も好きだしマミ美も好きだし、ニナモリも好きかもしれないけどやっぱりハル子かな〜」みたいなフラフラした感情(しっかりした恋愛観を小学生に求めるのも違うか)が描かれていたが、プログレではそれぞれの好きな人に対してまっすぐに見えた。オルタナでは大人になりたがったヒジリーの恋愛や、好きなのかどうかもよくわかんないというカナブン×佐々木の話なんかもあったが、恋愛というテーマはあまり感じられなかった。

 

 ラハルも今まで以上にアトムスクに対して執着しまくっていたし、まさか逃げられてジンユの胸の中で泣くとまでは思ってなかった。その前に、ハル子の思い人であるアトムスクについてヒドミは「変な鳥が好きなんでしょ?バカみたい、乙女みたいじゃん」と完全否定し、そこにハル子が何も言い返せてなかったのも意外だった。

 

 ただ個人的に嫌悪感を感じてしまったのが、ジンユを再び取り込みハル子になった時に、ハル子は妊婦のように腹が膨らみ、本人も妊娠したから先生をやめる!という事を言うのだが、今までハル子は人間っぽい(地球人っぽいという意味で)見た目をしているのに、宇宙人であるという謎の雰囲気を醸し出ていて、その謎がある部分に魅力を感じていたのであったが、妊娠(実際は性行為をしたわけではなくジンユを食べた)した事によって、一気に人間味が強くなってしまった。非現実というアニメの作品内での、非現実的だったキャラクターに人間性を持たせてしまった、ハル子も地球人と同じじゃないかというイメージを持たせてしまったかのように見えた。 

 オルタナは上村監督が自分なりのフリクリ像を描こうと模索した結果の作品だったので、外伝としての見方が出来る。でも基本的な、根底にある部分は曲げてはいなかった。わかりやすいフリクリと言っていただけに、前作を踏襲してなぞった上で、上村解釈での形に落ち着いていたんだと思う。実際ハル子は「宇宙人だから年はとらない」と相変わらずオルタナの中で言い続けていた。

 なのに、プログレ最大の汚点としては、そういう得体のしれないミステリアスで魅力のあるハル子に地球人と同じというイメージ、ナオ太に言い放った「少年の日の心の中にいる青春の幻影」であるべきなのに、そうする事で、今までは

・仮にハル子が実在して、でもそれは宇宙人だから生態は謎

という見え方だったのが、

・仮にハル子が実在して、そのハル子は妊娠する事ができる=人間味が増した=幻影ではなくなった

という、親近感のような感情を生み出してしまった気がした。

 ミステリアスな自分の欲望に従順で、目的のためなら手段もいとわない宇宙人って言うのがハル子のアイデンティティであったのを、人間味が増してしまう事でそれを薄めてしまったと思う。

 

 その後、OVAでは最後にチラりと映るだけで、今回初めてバカでかい姿をしっかりと長い時間現し、畏怖の念を抱かせる鳥頭の宇宙海賊アトムスクが、最後に人の形になってしまった(ハル子とサイズ感をあわせるため、アトムスクの力では形状を変えるのは容易なのだとしても)事で、今までそれこそFLCLを初めて見てから、今の今までアトムスク超かっこいい!!と思っていたのが、だせぇ…と思わせてしまったのだ。

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そりゃまぁドラゴンボールでもフリーザの最終形態は丸っこくてシンプルになったけども、元はGAINAX作品でもあるんだぜ、一番強いヤツがバカでかくて余計な飾り物とかバンバン身に付けてる方がかっこいいに決まってんじゃん!!!!!!!

 

 

 井出君が中盤まで大活躍するので、一見ナオ太にかわるポジションかとも思えそうだが、やっぱりキーになるポジションはヒドミだった。各話冒頭はヒドミの見るエグい夢が映されたりしたのという、ストーリーの進め方もそうなんだけども、自分の世界に余計な物が入って来ないようにするために、常にヘッドホンをつけ、耳を塞いで現実をみていないヒドミは、OVAの中で兄の幻想を追いかけ続け凄い事なんて無いから抜け出したいと思いつつも、変わる事へのとまどいがあってバットを振る事が出来なかったナオ太にリンクして見えたのだ。あるいは、貞本さんの絵と言う所からの連想で、碇シンジとダブる部分もあった。彼もいつもS-DATの音楽を聴いて周りから自分を意図的に遠ざけていたり、ウジウジしてるところだったり、中学生だったり、でもとんでもない力を秘めていたり、、、ってナオ太よりもシンジに似てる?

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ナオ太は退屈な日常の中に捕われていて、ヒドミは自分の夢の中に捕われていて、カナブンは拒んでいても常に変わって行ってしまう日常に捕われている、そういう何かに捕われていながら成長していく様子が描かれてるのがフリクリなんだろうなと。

 

 

         そしてカンチも何者かに(マスラオ達)に捕われていたw

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                  ダメっすよー神様なんすからー

 

 

 絵的な部分の話になると、今回ヒドミ含めいくつかのキャラクターデザインを貞本義行さんがされてるのですが、ヒドミって、もろに貞本キャラだなぁと思えて、ぼくはこのデザインめちゃくちゃ好きです。2018年の夏コミで貞本さんのサークル45yenで出された新刊の表紙にもヒドミ描かれてたので、すんなりと入ってきました。

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この表紙の色の塗り方とか見て、ゾンビ的な子なのかな?と思ったら、人間ではあったけど、ゾンビになる夢見ちゃったりするので、遠からず近からずイメージは汲み取れてたのかな?

 

 全6話、担当監督が違うことで、各話の振れ幅がどのくらい違うのかというのも、事前に気になっていたとこだったのですが、これに関しても、映像作品として面白い物に仕上がっていたんではないかと思った。他のブログもいくつか目を通したが、やはり5話の末澤監督の回が話題にあがっていた。末澤監督ジブリ作品のかぐや姫の物語を参考にしたという話で、それはCONTINUEのFLCL特集号でのインタビューでも話に挙げていた。この手法だと、原画の枚数は増えつつ中割りが減るから全体的にパカパカした動きに見えつつも、線が躍動的に見えてだいぶ印象かわりますよね。

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 OVAの時は若手(当時)アニメーターから大御所アニメーターまで、遊びに遊んでフリクリしちゃってる作品でもあったので、そういう意味でもプログレは引き継いでいたのかなと。オルタナはその分画一化されてしまってて、もっと遊んでてもよかったと思った。

 

 ただそれ故に、いい意味でも悪い意味でも統一感が無くなってしまってたのかなと。

 いい意味での統一感の無さは、それぞれの監督、原画マンさん達の作風の違いが色濃く出ていて、その辺がOVAに通じる部分があった。

 悪い意味での統一感の無さは演出部分が気になった。各話作風に統一感が無いのいい意味での統一感の無さととらえていたので気にならないが、5話と6話もっとも盛り上がるクライマックスになる所の話なのに「LAST DINOSAUR→I think I can」という曲の流れを繰り返してしまった所。型にハマってないのが魅力のフリクリで、型にハマってしまうのはなんともマヌケな気がしてしまった。OVAを意識してる作りになるので、その辺の選曲ってのはわからんでもないんだけど、その辺担当監督が違うにしても、擦り合わせしてよかったんじゃないかなぁ?

 

 プログレは1話サイスタのアバンでの夢のシーンの部分を西尾鉄也さんや篠田知宏さんが担当した」というのをパンフレットでの荒井監督のインタビューで確認。あのシーン、冒頭から迫力ありすぎてすごくよかった。西尾鉄也さんOVAでも原画で名前を見かけていたので、そういう意味でも参加されてるのがとても嬉しかった。

 あとはやっぱりラハルVSジンユの空中戦闘のシーン。海賊化したわけではない(というのがマスラオのセリフからうかがえる)が、2人とも光に包まれ、ラハルは赤くジンユは青く光り空中でバシンバシンやりあうシーンは板野サーカスのようでもあった。

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 他にも、N Oを使ってメカヒドミになった姿とか、銀色のロボットの敵なんだか味方なんだかわからないけどとりあえず強いぜ感エヴァ4号機的な)がかっこいい。メカヒドミがハル子と争って取り合う相手ってのがアトムスク化してる井出で、ここでも変な三角関係になってるのが面白かった。最終的にヒドミは井出を救い出し、ハル子はラハルに戻りまたしてもアトムスクを逃がしてしまう事で、ハル子の目的は普遍的な物である事も象徴づけられていた。

 

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  the pillowsの曲はやっぱり今回もFLCLの為に存在しているなと思わせるくらいの最高の親和性を感じた。 

 だからこそ、さっきも書いたように、Star overheadプログレに充ててもよかったんではないのかな?という気もした。

 オルタナは挿入の仕方がいくつか気になる所もあったがプログレではほとんどなかった。かなり気になったのが、3話ミズキリでのThank you, my twilightの使われ方だったのかと。今回2作ともに、あの曲の持つ雰囲気がバッチリはまる所が多かったので、水着回的なポジションだったミズキリでの、何気ない会話のシーンで挿入されたのには違和感を感じた。

 あと、個人的にBlues Drive Monsterthe pillowsの曲では好きなんだけど、OVAの中ではばっちりとハマっていて

メガネに貼りついてるように

どこを見ても

変わりばえしないこの景色

今日も退屈でがっかり

という歌詞がFLCLその物を表現していたと勝手に思っていたので、2作ともに使われなかったのが残念だった。まぁ歌詞の内容的にはヒドミの心情とも、カナブンの心情ともあってないからそりゃそうかw

 

 作中ヒドミがThank you, my twilightをアラームにしていたのを見て「あ、これはいいかも!」と思って早速アラームに設定したけど、起きるには起きたが、聴き入ってしまって二度寝してしまったので、アラームを戻したというのは余談。 

 

 

 と、オルタナプログレを見て、改めてOVAを見て、色んな人の意見を見た結果

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という事に落ち着くんですよ。

 

 ぼくにとっては、やっぱり3作全部見て、ベストはOVAだった。でも人によっては、わかりやすいフリクリを目指したオルタナだったかもしれないし、プログレの方がよかったと言う人もいるだろう。それでいいと思うし。そもそも比べるという行為がマヌケじみた行為だったのかもしれない。

 

 どうしても長い事愛された作品の続編はこういう論争が巻き起こる。宗教戦争のような物で、保守派と革命派の意見の衝突なんてのはよくある話。そして、長く続いたものであれば、古参や保守の意見が正しいものとされがちで、新しい物を肯定する事が異端とされちゃう事が多い。異端的な作品の位置づけにあったフリクリを好きな人間が、異端を容認出来ないって全然面白くないにゃーってなもん。オルタナを好きな人は、そんなアホな意見に怯えないで、カナブンのようにオルタナが好きだーーーー!!!!」って叫んでいいと思う。むしろ叫べ。セブンティーンは待っちゃくれないんだ。

 

 これからもOVAフリクリは1年に3〜4回、今まで通りのペースで見るだろう。その間に、オルタナプログレもはさむはず。これはこれで良かったからだ。というか、個人的には結構好き。なんなら両作品ともTシャツをしっかり買ってある。

 すいか。それとか、パンダの意地悪そうな顔とか、ツボの書いてある健康サンダルとか、黒板消しのにおいとか、朝起きたら雨が降ってた日曜日とか………ま、パンの耳よりは好き。

 結局は楽しんだもん勝ちで、つまんない意地はっててもつまんない。時にはマズいラーメンを食うのも悪くないって、ハル子さん教えてくれたわけだし(個人的に、オルタナプログレもマズいラーメンとは思ってない)

 

 なので賛否両論諸々あるかと思いますが、みんなそれぞれのフリクリを楽しんだらいいいんじゃないのかなって思う。そんで、思い思い語ったりして、自分の中のフリクリを固めていけばいいんじゃないかなと思う。そもそも、フリクリって言葉にはなんの意味もないんだから。

 

 

 

 

 

      心にいつもNEVER KNOWS BEST